じょ

ふたりの桃源郷のじょのレビュー・感想・評価

ふたりの桃源郷(2016年製作の映画)
5.0
文句なしに、いい映画で、何故いいのか、というのを言語化するにもひとりひとりの感受性の根源的な部分に訴えかけている感じがするので難しい。

まずはじめに、絶対的に無条件に心が動かされるテーマがあると思った。「家族」テーマの持つ力の凄さなのかなと思っていたけど、本まで読んでみて本質は少し違うかもと思った。本質的に引き寄せられるのは「真っ直ぐに、嘘がない、誠実で素直な生き様」それが、「家族」という多くの人にとって原体験的な関係性がよく見えやすい形をとっているから心を動かされるのかな?

映画全体を見た感想、「なんでこんなに嘘がないように見えるんだ」
もちろんカメラで切り取られ、編集を経て出た映像では見えていない部分が沢山あるんだろうけど、それにしてもそこに映し出される人の表情・言葉・行動・雰囲気・関係性。真っすぐで、全然嘘がないように見えた。じいちゃん、ばあちゃん、家族の人柄ももちろんあるんだろうけど、「真っ直ぐに誠実に生きているから」なのか。「生きること」「人を思うこと」に誠実で、なんて羨ましいんだろう、憧れてしまう分、そうはなれないことに切なくなったり。おじいちゃん、おばあちゃんをとても愛おしく、何故か切なく感じてしまう原因これか。

観る人によって思い入れのあるシーンが違うと言っていたけど、自分の経験に引き寄せて、自分が(心の奥底では本当はそうしたいのに)できなかった・できない・ことへの後悔や罪悪感があると思う。「東京物語」を観たときの母親のような感じ。

家族とか、老いとか、愛とか、親子とか、色々なテーマが散りばめられているんだけど、結局「真っ直ぐに生きること」への憧れ。に行き着いてしまった。それが具体的な形をとっている感じ。

リアルな人の、生き様の持つパワー、それを取材し続け、映像で見事なまでに伝えてしまった時にそれが持ちうるパワー凄まじい。

カメラ越しでも伝わってくる、取材先への愛に満ちた眼差しは、取材先が愛に満ちているからなのかなと勝手に想像してみる。
じょ

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