まさなつ

シリア・モナムールのまさなつのレビュー・感想・評価

シリア・モナムール(2014年製作の映画)
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大規模な空爆のニュースがありました。化学兵器を使ったことが理由とされています。空爆では問題解決にならないことは、もう皆んな分かっているだろうに、、何も変わらない。シリアの普通の人々の事を思うと言葉がでません、、。

この映画は少し前に観たのですが、レビューが書けませんでした。フォロワーさんのシリアレビューに後押しされ、ようやく書きはじめました。

映画は2011年頃からの民主化運動とそれを弾圧した政府のやったことを、SNSに投稿された動画と、映画が製作された2015年頃にシリアに住むクルド人女性が、フランスに亡命した監督とSNSで知り合い映像のやりとりをし、それらの映像をまとめて作られています。

そう監督はカンヌに行ってシリアの現状を話たことで国に帰れなくなり、現地にはいません。
監督の代わりに映像を撮り続けた女性は、両親が殺され自分もいつ殺されるか分からないという状況の中で撮り続けます。その勇気には驚きと賞賛しかありません。監督との関係はSNSのみですが、強い信頼といろんな意味での愛を感じます。

監督は安全なフランスにいる。現状を訴えるには多くのリアルな映像が欲しい、でも彼女を危険にさらしている、、ジレンマが観ているこちらにも伝わります。それは遠くから悲惨な映像を観ているだけの私も同じ気持ちとなり苦しくなります。

自分自身も、大量の悲惨な映像を目にしながら、何も消化吸収できていないのです 汗。

この映画は1001の映像を繋げられています。有名な千夜一夜物語にかけたそうです。題名はフランスなので甘い感じですがアラン・レネの「ヒロシマ・モナムール」から来ています。時代も場所も違いますが、あまりにも大きな悲劇を抱えた場所です。監督がフランスで撮った映像で列車が走る時に「どですかでん、、」と言葉にします。黒澤明も学んでるんですね。そして、シリアの子供たちの笑顔を唯一見られるのが、チャップリンの映画(街の灯)を観ているとこです。

この映画の時代から何年かたち、状況はさらに複雑になっています。ISILが勢力を伸ばし、ロシア、イラン、アメリカ、イギリス、フランスなどが関与し、第何時世界大戦をあの小さな国の中でやってるようなものです。利害関係も複雑に絡み合って、糸口を見つけられなくなっています。すでにシリア国内ではとても解決出来ない課題である以上、大国がエゴを捨て、シリアの将来を考えて、千夜一夜物語ではないですが、粘り強く話を重ねていくしかないのではと思います。綺麗事に聞こえるかもしれませんが、綺麗事でないと、どうにもならないとこまで追い込まれていると思います。シリアも、この世界も、、。
まさなつ

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