昔懐かしの1960年代に
香港やインドなどの東洋趣味が加えられ、
大正モダンを混ぜ合わせ、銀座と広島と大阪成分を少々加えた世界観、最高。
単に昭和モダン的美術に止まらなかったのは、外国のスタッフ×日本のスタッフだからこそ為せた技だろう。
唯一無二と言ってもいい、この世界を兄弟は自由に駆け抜ける。
作画も世界に誇るスタジオ4°C。
電車上のシーンでパンタグラフが小刻みに架線に触れて揺れるきめ細やかな演出。
最高。
しかし街に永遠はない。
昔を追憶するもの、過去に目がむいたものは皆、殺されるか、街を去ることになる。
地に足のついていた義理人情の生活(地元のプロレス興行やストリップ劇場)は欲望(新型遊園地)によって打ち払わられる。
その様は地方の商店街やデパートがショッピングモールやロードサイド沿いのチェーン店に滅ぼされていった姿に見事に重なる。
人間の便利になりたい、もっと気持ちいいことをしたいという欲望はもはや止めることはできず、それは容赦なく純粋な子どもにも襲い掛かる。
「おれの街だ!街だ!」いくら念じようとも変化は止められない。
そんな時に唱えられる「安心!安心!」
子供は街を写す鏡なのかもしれない。
ラストシーン、同じ飛び降りをしているはずなのに、舞台が違うだけで、これだけ視点が変わるのか。