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バリー・リンドンのoriのレビュー・感想・評価

バリー・リンドン(1975年製作の映画)
4.2
わたしは映画を見ていたのでしょうか、それとも〝キューブリック美術館〟へ迷い込んでいたのでしょうか。

18世紀の画家からインスピレーションを受けたという
ヨーロッパの可憐な衣装や目まぐるしい調度品、画面の中で繰り広げられる人々の生活様式からは、
時代背景をリアルに再現しようとするこだわりが強く感じられました。

人の肌や衣服に当たる光が生むやわらかな質感、波立つ水面のぶれや、木々の影、そして絵画風の頬の赤らみまで…
すべてが完璧。

そして音楽のセンスったらもう…ね…!?
モーツァルト、バッハ、ヘンデル…
これまた18世紀に作曲されたバロックや古典音楽。
作曲家たちのチョイスもスタンディングオベーション贈りたい。

ストーリーでは、平民から軍隊、そして貴族にまで成り上がるも落ちぶれるバリーは、成功するにつれて人間としての情が薄くなっていったように思えました。
最初は嫉妬に狂い感情的になったり、恩人の死で泣いていたりしたのに、
第2部では、ブライアンを除く家族への愛情はほとんど無いのと同じ。
愛する妻でさえも、彼を取り囲むお飾りと一緒。

わたしはバリンドンくんに肩入れせずにはいられないのです。
(もちろんバリンドンくんが最強にかわいくて美男子だからってところも50%くらいはあるけど)
実の父親が亡くなって苦しい思いしてるところに、ステップファザーにどんな理由にしても暴力振るわれたらそりゃあ憎むでしょう。

画面の構成も絵画的。
わたしのお気に入りは、
人々がテーブルへ賭博で集まるシーン。
リンドン夫人と教会での婚姻のシーン。
まだまだたくさんあるのですが…笑

好きなシーンをぜひ探しながら見て欲しいです。
きっとお気に入りのシーンが1〝枚〟は見つかるはず♩♩
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