死に近い人々は、目を開ける事や話す事ができなくても、耳は聞こえると言う。聴覚は最後まで残る感覚であることを、どこかで読んだことがある。
ラストシーンで、リリーフランキーが居る空間は、まるで耳の内部のようだ。
繰り返される無機質な「忘れ物ですか?」は、観客の聴覚に訴えかけてくる。
きっと三途の川を渡ろうとする時には、誰もが忘れ物の有無を尋ねられるのだろう。
天気予報、美しい水、政治家秘書、ミスコンテスト、バンドマン・・・。
登場するどれもが水モノなのだが、所詮、人間も地球もそのほとんどが水モノなのだ。流れ流れて、いずれ、雲となって地球を後にする。
佐々木蔵之介は安定の人間離れ風味。
若葉竜也と橋本愛の海辺のシーンは本当に美しい。