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河内カルメンのICHIのレビュー・感想・評価

河内カルメン(1966年製作の映画)
4.0
鈴木清順の過剰さに唖然とする一本。多くの作品がストーリーとかテーマなるものををいかに効率的に印象的に見せるかに汲々としているのに対して彼の作品はそういうこととは関係ない、そんなところ普通は省略するようなことに情熱を注いでいて、それが映画ならではのショットに満ちていて、物語やテーマもいいけのだけれと、映画を見続ける理由はそういうことじゃなくて、こういうのが映画だという、スクリーンからショットから溢れ出るものに打ちのめされたくて映画を追いかけているわけで、昨夜呑みながら「黒澤より鈴木清順の方が圧倒的に凄い」と語ったことが紛れもないな事実だということを確信した映画だった。五右衛門風呂に雨が降るシーン、キャバレー帰りの女を待つ男に降り注ぐ雨、滝壺、延々と続くキャバレーのシーンのビール、大阪のドブ川、水瓶に浮かび上がる幻想の水飛沫、過剰な水のショットの洪水に映画ならではの体験を感じる至福の時間。
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