あきっこ

メットガラ ドレスをまとった美術館のあきっこのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

メトロポリタン美術館(通称:メット)の服飾部門が年に1度開催するイベントメットガラに密着したドキュメンタリー。セレブが集まる豪華なパーティーの裏側だけではなく、鬼のようなスケジュールの中展示会実現に奔走する美術館員達や、服飾は芸術たり得るのかという大きな問いまで見ることができる。

この年の展示会は、普段の3倍の規模でスケジュール的にカツカツだったことに加え、テーマを中国に設定したことから、政治的批判を避ける為に細部まで慎重な調整が必要になった模様。極限まで追い込まれながらも、服飾への愛と情熱で展示会の準備を進めていく職員達。そんなメット服飾部門に莫大な利益をもたらしているのがアナ・ウィンター。作中で、アートと商業どちらかだけでは成立しない、と語られるように、熱意を持って良いものを追求すればそれが勝手にお金になってくれるわけではない。ゲストの席順がどうだとか、リアーナのギャラがどうだとか、芸術とは別世界の話に思えるけど、そういう所にまでこだわって大衆を巻き込んでいくアナの才能はやっぱり稀有な物なのだと再確認。

ファッションはアートなのか、という問いは考えれば考えるほど答えが出なくて面白い。実際、デザイナー達の間でも意見は分かれるようで。膨大な時間をかけた刺繍があしらわれたドレスとかを見ると、これを芸術と言わずして何と言うと思うけど、マネキンではなく人に着られてこそ、みたいな感覚もあるしな。
とにかく、芸術や服飾に興味がある人は見といて損はないと思う。
あきっこ

あきっこ