深夜のニューヨーク。電車のある車両に子連れの家族や若いカップル、貧乏な老夫婦、ケガをした兵士、黒人夫婦らが乗っていたが、そこにならず者ジョー(トニー・ムサンテ)とアーティ(マーティン・シーン)が加わり、2人は乗客たちに言いがかりをつけ始め、それが次第にエスカレートしていく。
出口が1つしかない車両という密室の異色サスペンス。
まだ無名だったトニー・ムサンテとマーティン・シーンの迷惑っぷりというか、何やらかすか読めない感が怖い。
とにかく、強烈な嫌悪感が後に残る作品だ。
金持ち、貧乏人、若者、老人、白人、黒人、軍人、ゲイと、一つの車両にアメリカ社会を凝縮させて、チンピラたちが触媒となって、彼らの真の姿を浮かび上がらせるという、舞台劇っぽい作りが好みだった。
特にみんなのことなかれ主義、我関せずという態度は、実は誰もが近い体験をしたことがあるんじゃないだろうか。
それでも、子供に手を出すのだけは許さんと思って観てたら、ボー・ブリッジスが動いてくれたんだけど、その過激な行動もまた、善良な人間の隠れた狂気を象徴しているんだろう。
ラストの静寂の衝撃!
チンピラたちの弱さと薄っぺらさ、最後の最後に知らん顔の乗客たち、行動しない友人、いきなり黒人を取り押さえる警官、これぞまさに戦慄!
これほどに胸糞なエンディングがあるだろうか。
それにしても、ニューヨークの地下鉄は怖い。