Bobsan

ある戦慄のBobsanのレビュー・感想・評価

ある戦慄(1967年製作の映画)
4.5
マーティン・シーンの映画デビュー作だそうです。彼は最初から悪役俳優だったんですね。
この映画にはヒーローがいません。皆、他人には無関心で自分達の事で頭がいっぱいです。ジョーとアーティーのどチンピラは、電車の乗客達が面倒な奴に関わりたくない事なかれ主義者ばかりなのをいい事に狼藉と狂騒の限りを尽くします。
この乗客の中にアーノルドとジョーンズの黒人夫婦がいます。アーノルドは最初の内は白人同士の諍いを傍目で面白がって見ていましたが、いざその矛先が自分に向き、黒人差別的扱いを受けると逆上し、ジョーに暴力を振るう寸前まで追い詰められます。しかし妻のジョーンズは制止します。もしアーノルドがジョーに暴力を振るえば自分達は最悪一生を棒に振る事になるのがわかっているからです。たとえ正当性がこちらにあっても自分達が黒人である以上、そんなものはないに等しいからです。事実、電車が駅に到着し、飛び込んで来た警官が真っ先に取り押さえたのはアーノルドでした。
本作はこんな感じのイヤ〜な差別描写がさりげなく随所に盛り込まれた人間最悪映画ですね。
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