伊達巻

壁の伊達巻のレビュー・感想・評価

(2012年製作の映画)
4.7
こんな綺麗な映画をみたのはいつぶりだろう、何から何まで美しかった、とんでもない完成度、めちゃくちゃ好きだった。撮影もエグすぎる、なにあの窓の、すごすぎて巻き戻した。話は嫌いな人は嫌いだと思う。2時間近くずっと鬱々としたモノローグが続くのに全く飽きない、やはり自然と共に生きたい、自然に還りたいという願望は絶えない、いつか山で暮らしたい。最強の自然の神秘体感映画であると同時に、あるいはそれ以上に、都会で暮らす私たちの孤独についての物語でもある。あらゆる対象から物理的に隔離されるという有り得ないフィクションなのになんだか身近な感覚というか、孤独を知る人にとってはむしろ日常の感覚が極端に体現された状況、って書いても過言にはならないかもしれない、いわば超フィクションである。途中からは主人公と共に森を歩き言葉を編んで動物と暮らし次第に生活を自分のものにできるものの、「壁」の存在に気づいてからの数日間数週間は生きた心地がせず、絶望する他にやることがない、動物たちは友達だったが、結局、自分は孤独のままだった。社会で「孤独」を抱えて生きることと、ひとりぽっちの世界で「孤独」として生きることは、全然違うようで似ている、どちらも自分が生きている現実と向き合わざるを得ないのだ。こんなすごい映画があるんだな。最後はちょっとかなしすぎた、びっくりしすぎて拒絶感
伊達巻

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