Omizu

壁のOmizuのレビュー・感想・評価

(2012年製作の映画)
2.8
【第86回アカデミー賞 外国語映画賞オーストリア代表作品】
マルレーン・ハウスホーファーの同名小説を映画化した作品。ベルリン映画祭パノラマ部門に出品され、エキュメニカル審査員賞を受賞した。

うーん、これはちょっといただけないかなぁ…

突然見えない壁に囲まれた女性が山の中で暮らす、というだけ。主人公のダイアローグで映画が進んでいく。それはいい。そういうのはむしろ好物。

序盤はすごくワクワクするんだよね。見えない壁とは何の象徴?とか主人公はどうもうつっぽい症状があるようでそれが展開されるのか?とか考えさせるんだけど、あまりにワンパターンで何も分からないのでどんどん失速してきてしまう。

SFとして観るべきなのか、それとも主人公の心の中の出来事として観るべきなのか、あまりに何も進まないので考えても仕方がないかなという気になってしまった。

一応主人公がうつっぽいということを考えると、SF的世界は主人公の妄想で、見えない壁は彼女の心の中の壁なのかな。孤独にさいなまれて心を閉ざしてしまったということだろうか。精神病院かなんかに入れられていて、終盤に出てくる男はそこの患者なのだろうか。

人間の孤独を描く、というのはいいとしても過度に暗く重いし、映像的にも僕はいいと思ったところがなかったかな。美しいかもしれないけど、「みたことがない」ほどのものでもない。むしろよくあるんじゃない?

序盤は期待させただけに残念。試みとしては悪くないけどもう少し推進力がほしかった。
Omizu

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