坂本淳

ファウンドの坂本淳のネタバレレビュー・内容・結末

ファウンド(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

低予算映画とは思えないくらいしっかり問題提起がなされているヒューマンドラマ的ホラーだと思った

主人公はスプラッターやホラーが好きな少し変わったいじめられっ子という癖がモリモリの少年だが、しっかりと入り込める様に思春期特有の複雑な心情描写がしっかりなされていて、主人公に感情移入もしやすい

また、主人公の兄(殺人鬼)も父親から受け継がれた思想である白人至上主義やその他歪んだ正義感などが殺人につながっており、(勿論スプラッター映画などから悪影響を受けているのは分かるものの)「暴力的なゲームや映画を見ると暴力的になる」の一言でまとめちゃって良いんですか?の様な事を訴えている様にも感じた

もう一つ、主人公が終盤いじめっ子に暴力でやり返す一連の流れは色々な事を感じた
・「暴力はいけない」と言いつつ叱る時に暴力を振るってくる大人
・「暴力」がいけないのは分かりつつも、自分がいじめられない様にする抑止力として行使せざるを得ない主人公
・「暴行を受けた」という事だけ取り上げて自分の息子がやった事を棚に上げる相手の親
・やり返さずに優しくしてくれる代わりに何も解決に繋げてくれない大人がいる環境(作中序盤)と、やり返して状況は解決する代わりに自分の事は大人に理解されない状況(作中終盤)の対比
・「モンスター(悪人)は誰?」という答えのない問い
これ以上にも色々考える事がポンポン出てきた印象的な流れだった

最終盤、兄が弟の為にやったのに何故か弟が泣いている事で「(歪んだ)正義感」に反した事をやっている事に気付いた兄が発狂したり、弟が最後(「こんな体験は人を歪ませる」と言っている事から)将来人を殺すんだろうなとなるエンドが救われなくはあるが、逆にそうする事でホラー感が増し、ホラー映画としても楽しめた

低予算映画だろうからか血糊が安っぽかったりする事や、終盤の「グロテスクだぞ、お前らこういうの好きだろ^ ^」感が合わない人には向かないと思うけど、ある程度過激なシーンでも見れるという人は是非見てほしい映画
坂本淳

坂本淳