たらこ

ファウンドのたらこのレビュー・感想・評価

ファウンド(2012年製作の映画)
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記録用

「モンスターは誰?」というマーティの言葉が核心のように感じた。
殺人鬼の兄は言わずもがなだけど、いじめ加害者や親友だったはずのデヴィッド、両親やマーティ、誰しもが心の闇にモンスターが潜んでいるんじゃないかと考えさせられる映画だった。

悪口を言われ足を引っ掛けられた同級生にマーティが反撃する場面が個人的に一番感情が動いた。
マーティが暴力という手段で弱者から強者側になる術を得た瞬間だったけど、実際問題、あのままやられっぱなしではマーティの置かれた状況は何も変わらなかったはず。マーカスが死んでいなくなっても第二のマーカスがすぐに現れたわけだし。
兄の影響を少なからず感じる暴力性には引いたけど、いじめに反撃したことでいじめ加害者にマーティの方から謝らなきゃいけないのは意味が分からなかった。
口先だけの謝罪で簡単に許せるような問題ではないのに大人たちは綺麗事で解決させようとする。そこに憤って地獄に堕ちろと言いたくなるマーティの気持ちが私は分かってしまう。
母親に対して自分と兄は両親の失敗作だと言いたくなる気持ちも。

暴力や恐怖で人を支配することにマーティが快感を覚えてしまいそうな気配を感じさせる撮り方が上手くてぞわぞわした。

親に対する不信感や憎悪を募らせて爆発させた兄と、反発しつつもまだ子供で親を憎むところまでは行ききってない弟。この対比にもまた色々と考えさせられた。
兄がマーティを守ろうとしてたのは兄弟愛というよりも自己投影をしてたからなのかなと感じた。

なんてことを割りと真剣に考えながら観てたけど兄のイカれモンスターっぷりがヤバすぎるオチに私の考えなんて軽く吹っ飛んでいった不思議な魅力のある映画だった。

『ヘッドレス』のシーンはグロ耐性ないので飛ばした。
たらこ

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