きぬきぬ

エルヴィス、我が心の歌のきぬきぬのレビュー・感想・評価

エルヴィス、我が心の歌(2012年製作の映画)
3.3
監督のアルマンド・ボーはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの「BIUTIFUL ビューティフル」や「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」で共同脚本を務めてる人。追い詰められた状況から抜け出す男を描いてると思う。

エルヴィスの声を持つ男、その歌声はエルヴィス・プレスリーそのものだけど、もちろん容姿は違うし、本人で無いからそっくりさんとしてステージに立つけれど、しがない工場作業員。でも彼は自分をエルヴィスの分身と思い込んでいる。だから妻は愛想つかして娘と共に別居。自分をエルヴィスと思っているから現実の社会生活には不適応者で、傍からは夢追い人に見える。途中のハプニングで彼の素の表情が垣間見え、娘と過ごすことで父親らしさも見せるけれど、彼がエルヴィスと同じでありたいという気持ちは揺らがない。
夢を叶える為に、しがらみを捨て去ることで彼の美学は達成されるのだろうけど、夢ってほんと個人的というか、身勝手なものだよなあ。
エルヴィス・プレスリーの歌声を持って生まれてしまったが為の痛々しさ。それでもこの男を演じるジョン・マキナニーが実際エルビスのトリビュートアーティストとして活躍していて、本当に素晴らしい歌を聴かせてくれるから説得力を持ってはいる。
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