y

ファイナル・カットのyのレビュー・感想・評価

ファイナル・カット(2012年製作の映画)
3.5
ガイ・マディンの『The Green Fog』のような、映画史上のあらゆる作品から類似シーンを抽出して一つの物語を形成する実験的再編集映画。こちらの方が先に制作されている。ガイ・マディンの方は『めまい』をベースにサスペンス映画を中心としたモンタージュを行っていたが、本作はロマンス映画の総集編だ。映画における男女の普遍的な関係性を、キャラクター/人格を特定することなく描き、一部の台詞を活かし物語の骨組みを作るもの凄い芸当だと思う。あらゆる女性の歌唱シーンを組み合わせ、リップシンクを整えて1フレーズ歌わせる試みなど、仕掛けも面白い。これが映画における編集著作物か。
ただ、一部アジア人も登場するけれど、採用している映画のシーンが白人に偏りすぎている(というか、ポワチエとF・ウィテカーが1回ずつ出てきたのと、2,3回チラホラ画面に見切れた以外で黒人いたか?)とは思う。多分、黒人女性に至っては1カットも登場していない。本作のコンセプト上、"つながり"という言い訳は存在しない。キャスティングとは全く別の問題であり、監督のインプット不足なのか意図的なものなのかは分からないが、数多くの選択肢があったうえでこの結果は残念。
y

y