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ファイナル・カットのtetsuのレビュー・感想・評価

ファイナル・カット(2012年製作の映画)
4.9
まもなくオンライン配信が終了する青山シアターの「EUフィルムデーズ2020オンライン」にて鑑賞。(配信はすでに終了しています。泣)

1組の男女が出会い、結ばれ、すれ違い……。
450本の名作映画からシーンを切り取って、1つの映画に繋ぎ合わせた異色の長編映画。

これは、間違いなく、死ぬ間際に観たい映画ベスト1でした。
(というか、もはや、青山シアターのクロージング作品。笑)

『ニュー・シネマ・パラダイス』でキーとして登場した、名作の切れ端を集めたフィルムを長編化したような84分間。

有名どころでも、
・『ラ・シオタ駅への列車の到着』
・『街の灯』
・『メトロポリス』
・『ローマの休日』
・『サウンド・オブ・ミュージック』
・『ブレードランナー』
・『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
・『タイタニック』
といった名作映画の数々が登場する豪華な作品。(さらには、『白雪姫』、『気狂いピエロ』、『恋する惑星』、『羅生門』などなど、幅広いジャンルからの引用もあり。)

これまでも似たような演出の作品(個人的には「コラージュ映画」と呼んでいる。)は、数本ほど観てきましたが、本作は、その中でも屈指の出来といえる内容。

男女の「出会い」と「別れ」を中心に繋ぎ合わされたシンプルな物語は、数多くの映画に共通する「男女の関係」をより浮き彫りにさせているように思いました。

映画は「記憶の断片」で、映画を観ると同時に過去の鑑賞体験が蘇ってくることがあります。

本作は、そんな意味で、死ぬ間際にもう一度観たい作品だと思いましたし、引用が畳み掛けるクライマックスには、自然と胸が高鳴りました。

(ただ、遊び心に溢れた作品ゆえ、お茶目なラストシーンが、若干、クオリティを下げているように感じました。笑)
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