このレビューはネタバレを含みます
ジャンル映画のリテラシーが高く、
「たぶん(どうせ)こうなるだろう」
と予想しながら見てしまう人ほど楽しめると思います。
透明人間というタイトルから連想するのは、天才科学者が透明人間になる方法を発明して、軽い悪戯からエスカレートしていく過程から楽しむ、要するにポール・バーホーベンのインビジブル(2000)なんですが、この作品は透明人間側の視点がありません。
これが心霊ホラー的な怖さを感じさせ、主人公の視線に合わせてカメラをパンする動きが何度かあるんですが、
何かが起きるんじゃないか?
プレデター(1987)的に、目を凝らして見ればそこにいるのがわかるかも?
と、そこには何も無いし実際に何も無い所を撮影してるだけなのにすごく怖いです。
その中で当然なにかが起きる、もしくは何かを確認するタイミングがあるんですが、
この映画は最低限の設定以外は極力説明はされずテンポが良いので、割と早くことが起きるのが逆に安心してしまう部分もありますね。
安心と言うと、中盤のクライマックスに入って主人公と透明人間が退治する場面。
透明人間の
「俺はお前を直接傷つけない。でもお前の大事な人が急に死んでしまうかもな。」
という内容の発言は、これがあった方が話の辻褄が合うしすごく納得するけど、主人公の身の安全がほぼ確保されてしまうのがホラー映画的に観ていた側からするともったいないです。
そこからはサスペンス一色になったと思いますが、結末からすると意図的である事がわかります。
主演のエリザベス・モスは、たまたま最近観てこちらでレビューしたアス(2019)にも出ていたので、個人的にすぐにピンと来ました。悲痛の演技が真に迫っていたと思います。
エリザベス・モスの出演作が続いたのもそうですが、私はヘレディタリー/継承(2018)を最近観ていて、今回の天井裏のシーンでは「またかよ、もうやめてよ」と嬉しい悲痛をあげていたのも嬉しい映画体験でした。