Arbuth

透明人間のArbuthのレビュー・感想・評価

透明人間(2019年製作の映画)
4.2
まず、映画館で映画を観るのはコロナショック以来初めてで、本当に久しぶり。やっぱり映画館はいいなぁ。また観れるようになって本当に良かった。

これは詳しいことはネタバレになるから書けないんだけどラストがすごいんです。まさかそう来るとは。新しい終わり方だと感じました。

“透明人間”っていう100年くらい前から使い古された古典的テーマとサイコパス夫のモラハラという現代の社会問題を綺麗に組み合わせた作品。
ただ単に見えない恐怖でワーキャーっていう単純なホラーじゃない。もっとこう、吐き気を催す邪悪というか知性ある悪意に、ハラハラドキドキさせられて。
ご都合主義的展開が多少無かったとは言えないけど、胸糞の悪くなる展開に背筋がゾワゾワして、本当に良質なホラーだと思いました。さすが「ソウ」シリーズの監督。

やっぱり怪物やお化けよりも一番怖いのは人間ですね。「エスター」や「黒い家」思い出しました。特に主人公が精神的に追い詰められて孤立させられていく様は「エスター」に似てるなーと思いました。

あとCG技術がすごい。透明人間に襲われるシーンにリアリティがあり、違和感なく設定に入っていけました。


やっぱり結末のすごさについて語りたいのでここからは少しネタバレになります。


最後、王道の展開だったらエイドリアンにボロを出させて、逆上してきたところをジェームズと協力して撃退(正当防衛的展開)、もしくは事故によってセシリアの手を汚さず死亡・あるいは逮捕だと思うんです。どちらにせよ主人公は同情されこそすれ非難の余地の無い結末を迎えることが多いと思うんだけど、あのラストはそういう次元を飛び越えた正に“サプライズ”でした。一番ビックリしたシーンかもしれない。
けど納得はいく決断なんですよね、されてきたことを考えると…。

ジェームスのあの驚きと戸惑いの表情。そしてエンドクレジットへと行くまでのあのセシリアの笑顔。。。監督は観客にどういう気持ちでこのエンディングを観せたいんや、と考え込んでしまいました。

久々の映画館、満足いく作品でよかったです。
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