YOU5521

劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケールのYOU5521のレビュー・感想・評価

3.8
人を苦しめる元凶を、ブッダや禅では「煩悩」と呼ぶ。
「煩悩」とは、脳が過剰に作り出した「妄想」のこと。
「幻想」といってもいい。
人類がかつて作り出した「幻想」の最たるものは
「お金」「国家」「時間」だろう。
最近それにもう一つ加わった。
「ネット」だ。
「お金」「国家」「時間」の誕生、出現と同レベルの
歴史的瞬間を現代人は目の当たりにしている。
考えようによっては、
未曾有の「煩悩」(苦しみ)のるつぼに放り込まれている

ネット=仮想空間(バーチャル)。
この映画は、スマホさえ要らず、
目の前に仮想空間が広がる近未来の世界。
雪山に行かなくても部屋でスキーが出来、
ゲームの戦いや冒険をリアルに体感できる

現在の脳科学では、
脳は視覚に引きずられ、勝手に情報を補い、
実際にはなくても、視覚が認めれば「ある」と解釈し、
手触りさえ感じさせる、と言う。
そういう仕組みなのだ、と。
人はバーチャル相手に恋愛もセックスも可能なのだ

「恋愛しているとの『幻想』さえ抱ければ、
エージェント(代理になるモノ)相手でも恋愛は十分、
成立する」(藤井直敬・「ハコスコ」CEO)

「そもそも恋愛において人間が求めているのは、
性愛も含めた陶酔感や精神的安定に過ぎない。
人間同士である必要は本来、ない」
(岡本裕一朗・玉川大学教授)

もはや現実も生身の人間もいらない。
それは、素晴らしいことなのだろうか。
危ういことなのだろうか。そんな瀬戸際に我々はいる。
この映画を観ていて、そんなことを思った
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