mizuki

T2 トレインスポッティングのmizukiのレビュー・感想・評価

T2 トレインスポッティング(2017年製作の映画)
4.4
人は何度でも間違える。というかクズは一生なおらない。素直に本能に従って生きたら、現代では「クズ」と言われるのが当たり前だから。“Choose Life”のシーン、とても良かった。過ちから学べたら楽だよな。頭ではダメなことやってるってわかっていても、変われないことに対してもはや絶望もしていない。一作目は、「若いから間違うよね」という見方をしていたが、本作はみんなちゃんと歳を重ねていて、かつ変われていない。そこが最高。前進したかのように見えて後退して、それでも望めばほんの少しずつ良くなる。薬じゃなくて音楽でキマるシーンで締めくくっていたのは最高。はたまた、手書きの小説作成に没頭することで気持ちよくなれることを知ったスパッドも最高だった。

一作目のように、モラルが全く守られていないところがいい。守らなければならない理由をひしひしと感じられるようにしてあるところもいい。ヘロインは、薬物の中でも一回ハマったらやばいって数本の薬物乱用映画を観て知った。人の心はそんなに強くないのに、ヘロインは強力に心に入り込んでくるんだろうなあ。ヘロインなしでは生きられない体と心になる。でも続けるのにはお金もかかるから、浪費する自分に嫌気が差して死のうとしたり。体がボロボロになるから、EDにもなるってよく言うよね。歯も脳も溶ける。ヤクを勧めた仲間は死んだし、赤ちゃんも育児放棄で死なせた。実害はたくさんある。
でも気持ちよかったあの頃を否定する気にはならないだろうな。最高の気分だったんだから。究極懐古主義で、今を生きている。それはもう、ほぼ過去からタイムスリップしてきた人だよ。
そこの描写も最高だった。1作目を美しく織り交ぜていた。ちゃんと細部まで考慮したリバイバルって可能なんだね。ということは、一作目はノリで作った奇跡の最高傑作ではなく、計算された最高傑作だったってことか…とかなり衝撃を受けた。俳優陣がみんな揃っているのがすごいということで有名な本作。そして、監督も脚本家も同じ人。カメラワーク、美術、サントラの良さが突き抜けていた。あのセンスに理解がある現場でかっこよさが追求されたと思うと尊い。1作目があるから本作があるんだけど、まとめていく軌跡があまりにも美しいので、1作目より好き。
mizuki

mizuki