安堵霊タラコフスキー

地中海の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

地中海(2015年製作の映画)
2.3
新進気鋭のイタリア人監督カルピニャーノの名前が一部で知られるようになった作品ということで興味を持って見てみたが、どうやら彼は自分と映画に対する考え方が違うようで落胆した。

移民の視点で映画を作った点は素直に評価できるけど、手持ちのクローズアップがメインながらカサヴェテスやダルデンヌ兄弟と違ってカットを割りまくりで持続性を損なってしまったせいで非常に映像としては退屈なものになっていて、マジで車ぶっ壊していた暴動のシーンや異国で暮らすこと象徴的に撮ったと思えるラストくらいしか心に残るものは無かったのだけど、こういうテーマと出来事の組み立てにのみ注力して映像には殆ど拘りを持っていないんじゃないかと感じてしまう映画を見たときはつくづくガッカリしてしまう。

かつて稼ぐ為に移民としてアメリカへ渡った歴史のあるイタリア人が、今度は移民を冷遇する側に回っている皮肉には確かにハッとしたけど、それを言葉でしか表現できない辺りにも監督の限界というもの感じられた。