一人旅

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグの一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
ガブリエーレ・マイネッティ監督作。

1975年から1976年にかけて放送された永井豪原作のロボットアニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフにしたイタリアのダークヒーロー映画で、新鋭ガブリエーレ・マイネッティの長編監督デビュー作にしてイタリア最高峰の映画賞であるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最多7部門で受賞した作品です。

現代のイタリアを舞台に、川に沈んでいた放射性物質によって超人的な力を得た犯罪者の主人公エンツォの戦いを描いたダークヒーロー映画で、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」を愛する隣人の風変わりな娘との触れ合いを軸に、悪から正義に目覚めていく主人公の孤独な戦いのゆくえを活写します。MCUやDCEUのアメコミ物とは趣きを異にしたダークヒーロー物で、超人的能力を犯罪に悪用していた主人公の正義の目覚めと宿敵との対決を、現実の延長線上からはみ出さないリアルな能力バトルシークエンスを交え描き出しています。

物語の重要なモチーフとなった「鋼鉄ジーグ」のオリジナル映像を挿入したユニークな映像演出も特色で、イタリアでも1979年に放送された同アニメの人気の高さを窺い知れますし、主演のクラウディオ・サンタマリアが悪と善の狭間で揺れる主人公を泥臭く演じ切っています。
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