お豆さん

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのお豆さんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

イタリア本国では「イタリア初のヒーローもの!」と大絶賛された映画。ローマで開催されたコミックイベントに永井豪が呼ばれたり、今年のイタリア映画界のアカデミー賞「ダヴィド・ディ・ドナテッロ」では新人監督賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞などを受賞していて、まさにイタリアに大旋風を巻き起こしたと言っても過言ではない。

でも…そこまで言う程か?という感じがしてしまって申し訳ない。

主人公が住むローマ郊外のトル・ベッラ・モナカは、もしもパゾリーニが現代にも生きていたら絶対に映画を撮っていただろうな、という感じの絶対に1人では歩きたくない地域。いかにもせこい売人とかチンピラがウロウロしてそうな場所で、悪役の小者感とピッタリ。そういう細かい設定を積み重ねていって「笑える」映画に仕上げている。そう、イタリア人がこの映画について語る時に「笑える」というのを何度も聞いた。

監督のガブリエレ・マイネッティは1976年生まれで、その世代のイタリア人は皆『鋼鉄ジーグ』や『マジンガーZ』で育っている。それが彼の創作活動の原点となっていて、こうした映画が生まれたのは必然だった。だから悪役のちゃらんぽらんなお兄ちゃんが力を手に入れた時に、短絡的にジョーカーもどきの殺人ショーを選んだのも頷ける。彼のベタなイマジネーションがいかにもトル・ベッラ・モナカ。巨大ショッピングモールに行くのが最大の娯楽!ていうタイプ。ただ、こういうストーリー展開はちょっとリスキーだったと思う。どうしてもアメリカ映画のまがい物に見えてしまう。もっとセリフ回しや人物描写だけでなく、何かわからないけどイタリアらしいオリジナルのものを期待していたのだけど。今後に期待。

ジンガロ役を演じたルカ・マリネッリは、頭のねじが取れた役をやらせたらピカイチの若手俳優。これからどんな俳優に成長していくのか楽しみな存在だ。

2016. 15
お豆さん

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