くるぶし

愚行録のくるぶしのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.0
日本版『JOKER』のような趣き。
あまりにも緻密に計算された脚本に引き込まれ、普段はそこまで気にならない「編集」の力をまざまざと思い知らされた。隙がなさすぎてかわいくないので、好き嫌いは分かれそうだが。

いい映画は“つかみがよい”。この作品は冒頭シーン、対になるラストシーンが本当にすばらしい。しかも原作にはなく追加されたシーンというから驚いた。黒ブキ最高峰の演技に全私が称賛する。3点は妻夫木聡に。

週刊誌記者の田中が、当時の関係者に話を聞きながら1年前に起きた一家惨殺事件の真相を追いかけていくーー。

人の悪意が巡り巡って物語の核をなし、淀みが映画全体を覆う。
その不気味さの中に自分が立っている姿が見えた気がして怖くなった。“愚かな行為”とは一体誰が決めた判断基準なのか…。

後半の「衝撃」は予想していたことの確認作業にはなったが、それでも回収の仕方に数学的なうつくしさがあり、好みだった。

少なくとも、私の元に記者がやってくるようなことがあれば、笑いながら人の悪口は言わないようにしようと思う。
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