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愚行録のmのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
2.5
可もなく不可もなく。あるあるだなぁと思いながらそれが琴線に触れることもなく。ミステリーだが、犯人が分かる仕方になっているのが残念。

複雑な人間模様でありそれぞれの深層心理であるが、いかんせん身近な物を再度浮き彫りにしただけの焼き回しに感じられ、退屈さを噛み締めて最後まで観た。満島ひかりさんの大ファンで、彼女の静かなる狂気が見られたのは嬉しいがストーリーなどは好きにはなれず。

小説が原作ということもなんとなく分かる作品。綺麗にピッタリとふたつの事件が重なる様は読んでいくからこその驚きがあると思う。映画では「出来過ぎだろ」と思ってしまう様に感じられる。出来過ぎというのは、最初からこの人が犯人なんだろうなぁ、もそこに入っている。

こんなことを言いながら私もコミュニティーに族していて、好きな人も嫌いな人もいる。都合の良いことだけを考えて生きているし、嫌いな人に仕返しだってしたい。嫌いな人が人生、転落したらいいのにって思う。今作を観る前からそれは人間の本質ではないか?と思っているので、今作が響くことがなかった。まぁ、なんだnot for meってだけの話しなんだけど。

妻夫木聡さんと満島ひかりさん、その他脇を固める役者さんの演技はとても良かった。悪意に満ちていて。でも、やはり主演ふたりは素晴らしいと思う。このふたりだからこそ、この重たい、ジメジメ感が出ていたと思う。満島ひかりさん大好き。今作も透明感がある中で、でも少し勘に触る女性、負の連鎖に巻き込まれた女性を丹念に誠実に演じて下さっていたと思う。
武志(妻夫木聡さん)の、ぷつんと切れた殺害シーンも迫力がありよかった。

光子(満島ひかりさん)の子供が誰の子か分かる瞬間はゾッとした。そこに愛があればいいのだけど、男の方は複雑そう。

光子の「私手をあげたことは無かったのよ」というセリフに胸締め付けられた。光子なりに頑張っていたんだな。あの人とは違うという叫びに聞こえた。

cc/他人を語り、本性を現すのは、誰だ?
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