たわらさん

愚行録のたわらさんのレビュー・感想・評価

愚行録(2017年製作の映画)
4.0
全編を通してここまで鬱々しさに徹底しているのも珍しい。罪悪感を抱かせるため田中武志が障碍者を演じる冒頭に本作の嫌悪感が収斂されている。脚本やミステリー部分、心の機微に評価せざるを得ないが好きになれない。

大人のスクールカーストといっても過言ではない愚直な人間関係が陰湿で婉曲であるのは、正面から衝突しにくる海外にはない日本特有の卑しさである。舞台が近い作品とした『あの子は貴族』では、世界が違う中での苦悩と幸福を描いた救いがあり、本作の不快感を連打してくる重さ。蹴落としたいも事実として存在する綺麗事だけではないアンチフィクションのパワフルさを感じた気がします。
たわらさん

たわらさん