有酸素

オールド・ジョイの有酸素のレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
3.9
森の中の温泉を目指す2人の男と犬のルーシーの1泊2日の旅路。
ただ会って同じ時を過ごす友人の尊さ。
ただし、それは心を救うけれど状況から助けてはくれない。

旅の帰り道の切なさを映画で感じたことってなかったかもしれない。街のネオンがどんどん近づいてきて明日からの信じたくもない現実が近付いてきて憂鬱になる感じ。
そして「左手に光る結婚指輪が切ない」をこんな解釈でみせる映画にも出会ったことがない。

住宅地にいる電線の上の名前のわからない
鳥と、都市部にいるカラスと、森の中にいる鮮やかな青い鳥。
それぞれの場所で違った姿で生きることを本当はこうやって称えたいけれど
人間が社会の中でそう考えてしまうことの恐ろしさを日々感じていて
それを簡潔に的確にでも恣意的でもなく描けるケリー・ライカートの素晴らしさが分かったような気がする。