眠人

オールド・ジョイの眠人のレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
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アメリカの侘しい田舎町に住む新婚の男性が、ヒッピーの友人に誘われて、山奥にキャンプしに行くお話。行って帰ってくるだけの作品。登場人物が少なく、会話もポツポツとしか交わされないので、何度も寝落ちした。落ち着いた劇伴も眠気を一層強くする。幸い自宅での鑑賞だったので、所々巻き戻しながらなんとか観た。

鈍色のぶ厚い雲に覆われた殺風景な郊外の中を、主人公の運転する車が走っていくシーンが印象的だった。そこが滋賀県(筆者の地元)と言われても疑わない程、地元の風景に酷似していた。もしかしたら田舎の景色って国をまたいで均質化しているのかもしれない。山間に入るにつれて木々が増えていき、徐々に画面にも色彩が足されていく。青々とした葉の美しいこと。この映画は「緑」の映画だと思った。

主人公のマークは新婚で妻は妊娠中、一軒家に住んでいる。かたや、友人のカートはヒッピー生活で独り身、どうやら定住はしていなさそうだし、マリファナばかりふかしてる。この対照的な2人の間に生じているズレも旅の中で少しずつ露わになってくる。終盤、山奥の温泉で交わされる2人の会話に人生の憂いを感じた。
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