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オールド・ジョイのfleurのレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.8
想像以上にとっても良かった。流れる緑と木漏れ日と窓から顔を出す犬(ルーシー)。フロントガラスに反射する青空と雲。カートとマークは親愛じゃなくて恋慕に近かったのか、となった温泉の場面。やっぱり親愛と恋は限りなく近くて、混じり合っていて、グラデーションのようなもの。男女の友情が成り立たない、なんて俗に言うのも決して男と女だからみたいな俗物的な話ではなくて、友情と恋愛が限りなく近く、溶け合っているからなのだと思う。でもまぁ、この時点でだいぶ恋愛至上主義なのだけど。異性恋愛規範からは簡単に抜け出せても恋愛規範からはなかなか抜け出せていない。だから、この恋愛規範から抜け出した人と人の形、関係、<友情>を考えて見つけたい。(もしかしたらカートとマークはその形だったのかもしれない)
大きな枝をくわえたり、飛び跳ねたり、2人が温泉につかってる間はお散歩したり、帰りには丸まって寝たり、終始ルーシーが可愛くて、ずっとかわいいねぇ、となりながら観ていた。Lucy as herself、かわいい。緑がネオンになり、灯りになり、街へ、現実へ帰ってきたのだと実感する。音楽が穏やかでとてもよかったのだけど、2人の車内にはそれは流れていないわけで、2人の間にはどんな空気が流れていたのだろう、とふと思った。
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