古くからの友人2人が久々に再会して、温泉へと向かう旅。
カートは放浪をしている独り身で、マークは結婚して父親になる目前という別の道を歩んでいる。ほんの少しの会話や仕草から関係や状況が想像される。
ライフステージが変わり、いつのまにか物理的な距離だけでなく心理的な距離を感じている様子が、2人の沈黙に流れるラジオや会話から察せられる。環境音に惹きつけられる、聴覚に訴えかけてくる作品だった。
最後のつもりは2人になくても、会うのは最後になるだろう旅の哀切がひしひしと伝わってくる。
悲しみは使い古された喜び。辛いけれど、悲しいのはその元に確実に喜びがあったからと思うと少し救われるかもしれない。
対の感情があるからバランスをとっているんだよなぁ、人間。
友人だからこそ言葉にしなくてもわかってしまう、友情の美しさと切なさに溢れたメランコリックな映画だった。