午後

オールド・ジョイの午後のネタバレレビュー・内容・結末

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

旧友と再会することになって、重苦しい曇り空ではあったが、お利口な犬も連れて、森でキャンプをすることに決めた。君が夢に出てきたんだと言っていた。
車中、目を細めて俯きながら、話をする。70歳を過ぎて結婚生活に嫌気が差した父親の話をしていた。脳血栓ができて、衰弱していたがそのうちに消えた。その話を聞いて、「死への旅に出るエスキモーみたいだ」と返答する。昔から、未だに持っているものを白状し合う。ガソリンスタンドの向かいに教会がある。面白くもない冗談を飛ばし合う。頼りのない道案内。僕たちは何を望んでいるのだろう?現在地がわからなくなって、気づまりになって縮こまる。かすかに苛立った気配が漂う。またつまらない冗談を交わし合う。目的地には辿り着かないまま、次第に辺りは暗くなって、ゴミの散らかった場所でキャンプをする。犬と寝るのは暖かいから良い。
「君と友達といたいけど、何か壁がある。それがとても嫌なんだ」、そう言った後で悲しい顔をして、打ち消すようにすぐに笑うのが見ていて悲しかった。焚き火を囲みながら過ぎし日の楽しみをなぞっても、二人の間には溝がある。夜が明ければゴミばかりで、後片付けは面倒だ。
帰り道は無言で、バックシートでは犬が寝ている。住宅費や医療費、光熱費の上昇が生活を圧迫していると、カーラジオは伝えている。もうすぐ父親になる男と、いつまでも責任逃れを続けている男では、見ている方向がまったく異なる。友達だから、わざわざ口にしなくても、それは痛いほどに伝わってしまう。旧交を温めることは難しい。
「宇宙全体が涙の形をして落ちている」。どうしてそうなのかはわからないけれど。うまく説明することはできないけれど。
結婚指輪を隠す仕草の、その気づまりと優しさが、なんとなく胸に残った。「悲しみは、使い古された喜び」なんだって。
大きい枝を気に入って、ずっと咥えている犬が可愛い。あと、Yo La Tengoの音楽が良い。
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