猫目

オールド・ジョイの猫目のレビュー・感想・評価

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)
4.0
尺は70分?始まりと終わりで主演二人の印象がガラリと変わる映画でした。人間関係に生じるすれ違いと友情の終わりを描いた哀しい作品にも関わらず、BGMで流れるヨ・ラ・テンゴの曲とオレゴンの壮大な自然が相まって総じて美しい映画でした。幼少期は無邪気に友情を育んでいたであろうマークとカート。久しぶりに再会してオレゴンの山奥の秘湯にキャンプに行って帰ってくるロードムービーです。

【ネタバレかな?感想】
もうじき父親になる予定のマークと、この歳まで根無草のような生活を続けているカート。二人の見つめる先は明らかに異なっていて。特に大きな事件が起きるわけではないけど、同じ時間を過ごすに連れて分かってくるお互いに生じる不思議な現在の距離感。なんてことない会話からも二人の気まずさが浮かび上がってくる。昔から変わらぬ射的遊びをしながら、カートが思わず言ってしまう
「君との間にある壁が嫌なんだ」 
「僕らは大丈夫だよ」受け流すマーク。

キャンプに向かう時の高揚感が帰りの車では完全に擦り減って、言葉を交わさなくともじんわりと感じる永遠の別れ。この二人はきっと二度と会わないんだろうな。二人の張り詰めた緊張感をワンコのルーシー🐕が緩和してくれていた。ルーシーの無邪気さがなかったら哀しみだけが強調されるお話だったかな。

「悲しみは使い古された喜び」"Sorrow is nothing but worn out joy"抽象的なようで的を射た言葉
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