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さや侍のmarimoのレビュー・感想・評価

さや侍(2011年製作の映画)
2.6
冒頭…あれ?これは映画的文脈の中での松本人志の笑いをやってくれるのか!
…と少し期待したものの
“三十日の業”の開始とともに観客にもただ業がかせられるだけ作品だった

はなから感情移入など狙っていないのだろうが
さや侍の野見が自ら笑いを考えるわけでもなく
娘と見張り役の考えた事をやらされてるだけなので何の信念もないように見える

娘役の熊田聖亜ちゃんの口上が唯一の推進力

主役の野見隆明さんは演技未経験の完全素人ですが、素人的な異物感はなく普通に作品の中に納まっています
そのため素人を起用することによる化学反応が全くおきていない

ただ単に主役に覇気がないだけに見える

この映画の最大の問題は
肝心の三十日の業がつまらないこと
内容がスベり芸や、素人を晒して笑わそうとするバラエティの軽薄なノリ

バラエティのノリで行くなら
三十日の業を通してバラエティの笑いの歴史を見せてくれるなど
お笑いの文脈を熟知した松本人志でこそのものを見せてほしかった

クライマックスから
松本人志は映画でお笑いをやることよりも
映画監督としての箔が欲しかっただけなのかなと少し残念な気持ちに

竹原ピストルのところは
竹原ピストルの魅力によるところが大きい
ただ演出的には歪なものの悪くない

そのあと子供達の墓参りシーンから現代に繋がり松ちゃんが横切るところも悪くない

ただ竹原ピストルに劇中で歌わせるならそれで終わらせても良かった気がする

子供たちの墓参りシーンをラストに持ってくるのなら
竹原ピストルのところは歌詞の朗読のみで
エンディングで歌を流すような形の方が良かったのではと思ってしまう
(素人の戯言です)

やりたい事が最後に詰め込まれすぎていて冗長なラストになってしまった印象

前2作と比べると良くなったような気がするが
単に松本人志映画に一貫して存在している実験的な要素が薄まっているだけ

上映時間に対しての体感時間が長く感じるのは
結局、三十日の業が全然面白くないから
悪い意味で置きにいってしまった失敗作
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