とらキチ

ニールジャーのとらキチのレビュー・感想・評価

ニールジャー(2016年製作の映画)
4.2
「パッドマン 5億人の女性を救った男」で、メチャクチャカワイイ“パリー”役を演じていたソーナム・カプールの主演作。1986年9月5日パキスタンで起きたパンアメリカン航空73便ハイジャック事件において、多くの人命を救う英雄的な活躍をした客室乗務員の姿を描く。
“Pan Am”が、ボーイング747“ジャンボ”が懐かしい。でもやはりアメリカの“フラッグ・キャリア”として、テロリストから狙われてしまいやすいのだろうか。Pan Amは1991年に破産消滅してしまうのだが、そのきっかけも湾岸戦争と今作のテーマとは別のハイジャック事件であった。
今作の主人公ニールジャー・バノートは、客室乗務員として働きながらモデル業もこなしていたというスーパーウーマン。1980年代という時代背景から、インドという国如何を問わず、現在よりも遥かに女性の社会進出が難しかった時代で、劇中でも「女性は仕事などせずに家庭に入るべきだ」などと詰られる様子が描かれる。そんな彼女自身の詰られた際のトラウマが、ハイジャック犯にいろいろと強要される場面と状況が重なってリンクしてしまう…という場面が多々あって、実に巧い演出だと思った。
ハイジャック犯の襲撃を受けた時、コクピットに居たパイロット達はさっさと機外に脱出してしまい「おいおい💦」とツッコミたくなってしまうが、これは当時、地上で機を占拠された時に犯人を機内に閉じ込めるために考えられた対策であり、実際に実行された初のケースであった。
“彼女の行動は、人間の最も優れた資質として永遠に称えられる(アショーカ・チャクラ賞より)”
“人間の持つ驚くべき優しさを発揮した(パキスタンが授与した勲章に記された言葉より)”
彼女のした事がいかに勇気ある素晴らしい事だったかがよくわかる。それだけに、物語冒頭の楽しげなパーティーのシーンを思い起こすと、より切なくなってしまった。
そしてエンドロールでは演じたソーナム・カプールに全然負けないぐらいお綺麗なニールジャー・バノートさんご本人の姿を見ることが出来る。
とらキチ

とらキチ