正に日本版ジャッロ映画!
出だしこそ日活ロマンポルノ的な牧歌的で滑稽な描写で夫婦の営みを映し・・・なんか思ったのと違う・・・と思わせるのだが、これが建設中の団地を背景に"文明が崩壊した後の荒野"の様な河川敷でヒロインが襲われるに至って、突如として一変し、凝った映像表現で非日常的な世界が始まる。
扇情的な残酷描写とエロティズム、そして少しゆるいプロット。あからさまに怪しい身近な人物に黒装束の犯人、被害者をまさぐる黒い革手袋の手、ニードル状の凶器、ユッタリとした執拗な暴力、徘徊する怪しげな狂人・・・。
一応、ロマンポルノなのでSEXシーンも無理矢理挿入しており、撮影も照明もなかなか凝っていて魅せるのだが・・・暴行シーンは、エロより恐怖描写の方が圧倒していて、ムチャクチャ怖い。ひえぇぇ。
正にジャッロ映画。
団地妻の観た白昼夢の様な建付とか、人体発火描写とか、『炎のいけにえ』も連想させるし・・・色彩や写し方にジャッロ映画だけではなく、往年のハマー・フィルムあたりの臭いもするなぁ・・・女性を部屋に誘って次々と火あぶりにする米国映画『恐怖の火あぶり』は一年早いんだけど、影響は受けているんだろうなぁ・・・と思って観ていたら、ヒロインの親友夫婦の部屋に所狭しとホラー映画のポスターが貼っていて、監督の趣味が出まくりなんだな・・・とホッコリした。