イチロヲ

ズームイン 暴行団地のイチロヲのレビュー・感想・評価

ズームイン 暴行団地(1980年製作の映画)
4.5
婦女連続殺人事件の恐怖に苛まれている団地妻(宮井えりな)が、密かに逢瀬を重ねている元恋人(志賀圭二郎)に不信感を向けていく。暴力性と官能性のシンクロ現象を描いている、日活ロマンポルノ。鈴木清順の門下生、黒沢直輔監督のデビュー作。

レイプ表現が様々な手法で描かれており、一辺倒になっていないところが特徴的。会話のキャッチボールが成り立たない気持ち悪さ、赤と黒をシンボリックに配した絵作りなど、スリラーを煽るための創意工夫が施されている。

ドラマ性はほとんど皆無であり、「猟奇犯罪を如何にスタイリッシュに描くか(=嘘っぽく描くか)」という、アンモラルな挑戦に一点集中。股間にファイヤー、ジャングルジムに拘束、スカートを踏まれて脱衣など、被虐芸が冴え渡っている。

団地内に厳戒態勢が敷かれておらず、単なる無法地帯になっているが、翻ってみると「そこが団地という異世界の怖さ」であると捉えることが可能。サイコ・スラッシャー系ポルノの真骨頂ともいえる逸品。
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