雨宮はな

92歳のパリジェンヌの雨宮はなのレビュー・感想・評価

92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)
5.0
全く重くも暗くもないが、「死」までを個人であり人権だとわかっていないと受け止められないと思う。
日本人ウケは絶対に悪く、また、ちゃんと観られる人がかなり限定される作品。

だまし討ちのような邦題とヴィジュアルデザイン。
ほとんどの人間がマドレーヌの息子と娘の見方で終わるだろう。
まるで母を理解し支える娘かのように描かれているけど、「電話がないってことは死んじゃったのよ!」とべそべそ泣き喚く様子から、まるでなにも理解していないことがよくわかる。

「オネショしたっていい、よくあること」
「オムツで生きてていいじゃない」
それが上から目線なのだと気づかず、気配りだと思い込んで発せられる残酷なセリフにマドレーヌは何度も尊厳を殺されている。
欲しいのは上から目線な許可/許容ではなく、「そうならなくて良い」ことへの理解。
雨宮はな

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