まりか

92歳のパリジェンヌのまりかのネタバレレビュー・内容・結末

92歳のパリジェンヌ(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます


92歳の誕生日を迎えるマドレーヌは家族に迎えられ、パーティを行う。そこで2ヶ月後の10月17日に自分の人生を終わらせる事を宣言。家族は猛反対するが、信念を貫き通すマドレーヌを家族は徐々に受け入れ始める。そこで娘であるディアーヌは、マドレーヌの残り少ない日々を一緒に過ごそうと考える。

まず思った事はもしも、自分のおばあちゃんがマドレーヌと同じ事を言ったらどうなるだろうか。やはり、ディアーヌやピエールのように止めるのだろうか。でも日々自分1人で出来なくなる事が増えるのは大変辛い。しかも本人の意志に背き病院でオムツをし、管で栄養を取ってまで生きさせるのは果たして正しいのか。色々考えさせられました。この登場人物の気持ちは皆すごい分かるので、見ていて辛い所はありました。個人的にはこういう尊厳死はありなのかもしれないと思える映画でした。確実に言える事は死ぬ事に反対する息子のピエール、また対照的に死ぬ事に賛成なヴィクトリアは意見は違えどマドレーヌが好きだろうなというのが何となく伝わってきた。そして、マドレーヌがジョルジュに会いに行った時の嬉しそうな顔をしていただけに、別れ際の寂しそうな顔は大変辛かった。唯一の救いはマドレーヌの飼い猫であるシモーヌが可愛いくらいです。

好きなシーン

・息子のマックスが火事で焼けたマドレーヌの台所を白に塗り直す所。(そこに波に乗っているマックスの絵が添えてあるのが良い。)

・マドレーヌがマックスにガウンをあげる所。(どこかのシーンでマックスが羽織っていたのけれど、似合っていた。)

・不法滞在のアフリカ人のお産を手伝った所。

・マンションに到着したマドレーヌを隣に住むディディットがお姫様抱っこして家まで運んでくれる所。(羽のように軽いよと言いながら、運んでるディディットがカッコイイ!!)

・マドレーヌとディアーヌがホームビデオを見ながら一緒に踊る所。(そのシーンだけマドレーヌが若い頃に戻るのが何とも切ない。)

今回は珍しく好きなシーンが少なめです。映画自体の善し悪しというよりは重たいテーマを扱っているだけに、明るいシーンがあまりなかったです。しかし、ヴィクトリアがディアーヌに言うように死者は地下ではなく色々な所に宿っているという考えは興味深かった。これからもマドレーヌはベッドなり台所の水に宿って、ディアーヌやピエール一家を見守っているといいな。
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