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ドラゴン・タトゥーの女のrensaurusのレビュー・感想・評価

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)
4.4
ルーニー・マーラ演じるリスベットが好き過ぎる。反社会的でありながら知性が滲み出ているというギャップ。素行不良や過激なファッションなどは、心の傷を受けたことによる反作用と、ミソジニー的な社会への怒りから来ている感じが上手く表れていたし、その鬱憤と、兼ね備えた頭の回転の速さから、やられたままやり返さずにはいられないぐらいもう抑えられない感じも本当に良い。中盤の胸糞展開からの報復の流れはもう最高。残酷で計画的な面がある一方で、コーラやハッピーセットを貪る嗜好の幼さと精神的に不安定な所が残っているのもまた良い。衣装のこだわりも強く感じて、ダークで退廃的でパンキッシュなファッションと髪型がコロコロ変わっているところも見所。この撮影のために眉ピアスを開けているらしい。眉毛の脱色も良いアイデア。

また、主人公のミカエルはジェームズ・ボンドでお馴染みのダニエル・クレイグで、仕事の出来るイケおじ感と、一握りの茶目っ気、芯には誠実さがあるキャラクターでこちらも良く、メイン二人のバディ物・ロマンスもいい味を出していた。好き勝手するリスベットにたじたじのミカエルが好相性。

デヴィッド・フィンチャーの常套手段であるシリアルキラーを主軸にしたサスペンスを展開しながら、彼女自身が受けた性被害の傷や日々溜め込んでいる物憂さを、財閥系企業の男性主義的な裏側に隠された連続猟奇殺人事件の解決の過程で発散させていく様子が気持ち良い。サスペンスの内容自体はよくあるものだが、リスベットのフィルターを通すことで新しさを出している。
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