燕鷲

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ラブの燕鷲のレビュー・感想・評価

3.0
ドラマとしても映像としても見応えがあったのは第3幕。意中の人に手を取られながら踊る場面で醸成される多幸感と表出する戸惑い。あのシーンに1990年(社会主義の東欧諸国にとって過渡期の真っ只中)の空気が集約されていたと思う。

残念ながら第1幕は凡庸の域を出ず。悲壮感漂う濡れ場を観ていても胸に込み上げてくるものがない。第2幕も同様。あそこで“落ちる”のは誰もが予想できること。どうせならもっと不条理な展開を観せてほしかった。

全編を通して遠景ショットが多かったような気がするのだが、寧ろ、女たちが大きな時代のうねりに飲み込まれぬよう前へ前へ歩いていく姿に肉薄した画(とりわけ、何度も反復される背後からのアングル)に最大の魅力を感じる。
燕鷲

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