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エル ELLEのバロウズのレビュー・感想・評価

エル ELLE(2016年製作の映画)
4.3
映画冒頭、いきなり主人公がレイプされるシーンから始まる。
その後何事も無かったかのように後片付けをし、湯船につかり自らの性器から滲み出した血液をじっと見つめる。
寿司の出前を取って息子と談笑しながらの夕食。この映画、なにか狂ってるぞ?と感じさせる演出はとにかく凄い。
レイプ犯を探すサスペンスなのかと思いきや途中からブラックコメディになっていくのもバーホーベン監督らしい。
あとこの映画は主人公を含めまともな登場人物が不在(バカかゲス野郎か性的倒錯者)なので誰にも感情移入できません。
とくに男はみんな愚かに描かれており、
レイプ被害という深刻な問題を抱えながらも一貫して弱みを見せない女主人公。ある意味究極のフェミニズム映画と言えるかもしれません。

主演を務めたイザベルユペールの演技力と60過ぎとは思えぬ美貌も素晴らしい。
フランス映画特有の生々しい性描写とセックスとバイオレンスに固執するポールバーホーベン節が見事に融合した怪作。
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