ふじこ

ピアノ調律師のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ピアノ調律師(2010年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

なかなか面白かったなぁ。
とても大切なコンテストで失敗したピアニスト、アドリアンはそれから盲目を装いピアノ調律師として働いている。
客は彼が盲目であるのに安心し、来客中には見せないような振る舞いをするが、それを覗き見て楽しんでいる素振りもある。
ある日、依頼のあったアパートへピアノの調律へ出向くものの、ドアの向こうで戸惑い拒絶するご婦人の声。
わたしは盲目です、ピアノの調律に来ただけですよ となんとか中に入れて貰うものの、部屋に入ると床が滑って転んでしまう。
ご婦人はシチューを零したと言い募るだけれども、偽物の盲人である男はソファーに座った男が既に死んでいて、床に流れた血で滑った事を知っている。
なんとか盲人の振りを続け、ご婦人に促されるまま服を脱いで調律を続けるものの、急いで脱いで渡したコートには誰も見ていないところで使っている手帳が入ったままだった。
なんの音もしない室内で調律の仕事を続けるが、無言のままご婦人が男の背後に立つ。
何か…何か言ってくれ!と強く念じながらも、盲人の振りを続けているが故に振り向いて問う事が出来ない。
画面上ではご婦人が男の首の辺りにドリルのような物を構えて立っている。
静かに演奏を始める男。
演奏を続けている間は彼女は僕を殺す事は出来ない。
演奏を続けている間は彼女は僕を殺す事は出来ない。
そう心で呟きながらピアノを弾き続ける。


ご婦人が構えてたあの武器なんだろう…。電動ドリルかな?それともなんらかの空気銃みたいなやつ…?
最後の雰囲気が怖すぎる。
ただ、演奏中は殺せない というのは男の願望でしかないんだよなぁ…。
演奏を始めてから彼女は動いていない…だから、という希望的観測。
なのだけれども、美しい音楽を奏でながらそのままエンドロールに入っていくのが余韻があってとても良いんだ。
彼女が盲目は嘘であると気付いたのかどうか、それも分からない。
もし問われれば、恋人にでも代筆して貰っていると言えば良いんだし。
最悪、服を脱ぐように言われるまでは動揺していたとして彼女が席を外した瞬間に走って逃げても良かったんだよな…。最後のシーンの絶望感がたまらない。手を打つには遅すぎた。
なかなか良かったわ。
ふじこ

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