映画太郎

オクジャ okjaの映画太郎のレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
5.0
本作はとってもチャーミングだ。オクジャに上半身食べられてるミジャ、陽気な動物愛護テロリスト達、イカレたジェイク・ジレンホール(彼は大抵いかれているが)、Dr.ストレンジの師匠とは全くイメージが違うティルダ・スウィントンなど、みんな楽しい。冒頭、山の中のオクジャとミジャは「となりのトトロ」みたいだし、カーチェイスシーンは、思わず「ミッションいん…」と口から出そうになった。

でも、ポン・ジュノ監督が見せたかったのはそこじゃなかった。ポン・ジュノはいつだってそうだ。大事なものを砂糖でくるんで見せる。

私は普通に肉を食べる。どちらかといえば野菜と果物が好きだが。海外のドキュメンタリー映画で、屠殺場の映像も見た事がある。どうやって家畜の肉が商品になっていくか、最初から最後まで見た。細かくは書かないが、大体あの通りだと思う。日本では屠殺場の実態は知らない人の方が多いのではないだろうか。面倒な事に歴史的問題も絡んでいる。それでも人間は知るべきだと思っている。食べ物がどこから来たのか。学校で正しく教えるべきだ。命の尊さや責任や感謝の事ではなく、「事実」をだ。考えるのは知ってからでいい。自分はどういう立場に立つか。そもそも「屠殺場は残酷」という概念がおかしい。

歳を重ねてから乗馬を始めた人がいた。何度か通っているうちに馬に愛着がわいてくる。「可愛くて仕方がない」。しばらくして、その人はこう言った。「馬刺しが食べられなくなった」。そして、「乗馬仲間には気にしないで食べる人もいる」とも。

ところで、私はミジャは世界がどうなるかなんて考えずに全ての豚を解放するのかと思った。ナウシカならそうしたかもしれない。でも、それはファンタジーであって、リアルではないのだ。
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