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オクジャ okjaのmaのレビュー・感想・評価

オクジャ okja(2017年製作の映画)
2.8
大きな生き物というのは良いものだ。もののけ姫の山犬くらいデカい犬と一緒に育ってみたい。ふかふかの毛に埋もれて昼寝するのはきっとすごく良い気分だと思う。
でもその大きな優しい生き物が家畜で、肉を焼くとものすごーく美味しいブタだったら……?

動物保護と食用肉に関しては、「可哀想」という気持ちで考えてはいけないと思っている。私は菜食主義者ではないのでほとんど毎日美味しくお肉をいただいているからだ。その口でどうして家畜が可哀想だなんて言えるだろう。
学校の基礎実験でザリガニの解剖をやったことがある。ザリガニの甲羅にハサミをいれて引っぺがし、中のエラや臓器を観察する実験である。ザリガニに麻酔なんて使わない。じゃあどうするのかと言うと、氷水に浸すのだ。変温動物のザリガニは氷水に浸すと動けなくなる。そうして甲羅の隙間にハサミをいれるわけだけど、氷による麻酔は効果が十分でなく、手の熱で温まってくるとザリガニはエビの如く跳ねるのだ。背中の甲羅を完全に除去された状態でもザリガニは生きてるし、この地獄から懐かしい川に帰ろうと必死でもがく。半透明な膜の向こう側で心臓が動いているのが見える。甲羅に覆われて隠されていたエラはエルヴィス・プレスリーの袖のフリンジのように美しいのだ…。
当時の私は「痛いよね、ごめん、ごめんね」と言いながら跳ねるザリガニを氷水に沈め、甲羅にハサミを入れ、露わになった臓器をスケッチした。サイコパスなマッドサイエンティストさながらである。そしてこの基礎実験をきっかけに生物学の道を断念した。
数年経った今でも鮮明に覚えている。でもあのザリガニに可哀想など思ってはいけないのだと思っている。あのザリガニくんを殺したのは私だし、ザリガニくんの命と引き換えに前口動物が背中側に心臓を持ち腹側に神経を持つということ学んだのである。一生忘れらんねえよ。まったく関係ない映画のレビューで延々と話してしまうくらいには忘れられない。(もはやトラウマ)
家畜にしろ実験動物にしろ、せーのでやめられるようなものではないし色んな人がいろんな風に考えるので難しい問題だ。
私達は家畜の肉や実験動物の実験結果によって生かされているのだから。でも諦めて何もしないのが正解かというとそうでもない。私達は彼らの痛みをなるべく取り除いてやるべきだと思う。無駄に苦しめては駄目だ。「可哀想」という気持ちではなく「尊敬」の気持ちを持つべきだ。教授、毎年甲羅を引き剥がされるザリガニたちにも氷麻酔ではなく普通の麻酔を使ってあげてください……。

一切映画の話をしていないんだが?
オクジャがかわいかったでーすオワリ!
メッセージ性が強いので色々と考えるきっかけになると思う。難しいよね。でも考えないといけないね。
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