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背信の日々のmhのレビュー・感想・評価

背信の日々(1988年製作の映画)
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白人至上主義者の集団にFBI捜査官が潜入するソーシャルスリラーで、実話をもとにしたエンタメ映画。
冒頭に殺されるラジオDJはアランバーグがモデル。番組のウリである過激なトーク内容が、恨みを買いついには殺されてしまう。オリバー・ストーンの「トークレディオ」はもちろん、テリー・ギリアムの「フィッシャーキング」など、その後の創作物にかなりの影響を与えた事件。
グループ名はThe Orderで、旦那さんのモデルはロバート・ジェイ・マシューズ。この映画では触れられないけど、息子の方は養子で、娘のほうは実子とのこと。かなり現実をトレースした設定になってるあたりがコスタガブラス。
白人至上主義者とかネオナチといわれてもピンとこないけど、ようは極右なので日本人も無関係ではない。陰謀論を信じ込み、正義のために行動を起こす――彼らの恐ろしさを具体的にみせてくれるので、勉強になる。
KKKの集会に家族で参加したり「俺のことバカにしてるのか?」というちょっとしたプロットもなんだかんだ怖い。
十字架が燃えているシーンは嫌な汗出る。
潜入捜査ならではのサスペンスがほとんどなんだけど、クライマックスがとんでもなく素晴らしかった。
原題であるBetrayed(意味は「裏切り」)が、主人公のFBI捜査官にも、犯人にもかかっている。
白人至上主義者とかネオナチがすでに政府機関にも入り込んでいるというシニカルエンドなんだけど、いま現在、それがほぼ現実のものとなっている。
いやー、これもすごいね。
コスタガブラスほんとはずれない。
なんでこれDVD化しないんだろうな。
面白かった!
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