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花芯のmiporingoのレビュー・感想・評価

花芯(2016年製作の映画)
3.2
瀬戸内寂聴さん原作と観賞後に知り、ああやはりね、と思った。下品な官能映画にならず、ギリギリで文学的。女は性欲などなく清らかで男に尽くすもの、という日本の今も続く価値観に一石を投じる作品だと思う。園子が破滅的人格と捉えられなくもないけれど、生きていく上で何に価値を置くかという、ただそれだけの違いだし、親の決めた許嫁と若くして結婚した後に、本当に好きだと思える人に出会うなんて、考えてみたら、さもありなんですよね。彼女が悪いわけではなく、自由に結婚相手を選べないという慣習がおかしいわけで。
着物だからこその、しどけない所作や表情がとても良かった。最後、新しい生き方を選択する覚悟が、園子の洋装に表れている気がした。ここはアンニュイではなく、シャキッとした歩き方をしてもらいたかったな。それにしても男たちがみんな微妙にクソな感じで、そこもリアル。
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