くりふ

ハートビートのくりふのレビュー・感想・評価

ハートビート(2016年製作の映画)
3.0
【角丸ダンス】

キネ旬シアターにて。初公開時はイマイチ乗る気になれなかった。みたら、つくりとしてはかなりガサツで薄い青春映画。バレエ学校が舞台で近似の『センターステージ』の方がよくできていたなぁと思い出す。

音楽とダンスの直球パワーはあり。で、現代アメリカの大衆寄りダンス事情をカタログ的に楽しめるところはよかったです。

ヒロインを演じるキーナン・カンパは元マリインスキー・バレエ所属とのこと。経歴がわからなかったのですが、以下のブログで端的に紹介されていました。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/06/post-2c04.html

ドンキのキトリ役まで行ったとはスゴイですが、団にはうまく嵌らなかったようですね。マリインスキーの最前線で踊っていたらアメリカ映画の主演なんてやってるヒマない筈で、上記の経歴から成程と思いました。

作中、踊りが堅いとツッコまれ、確かにと思ったがこれなら仕方ないか。彼女、表情もねえ。笑うと可愛いけれど、普段の顔がヌボーとして魚みたい。でも、今後に期待します。

彼女のルームメイト役を演じるのがソノヤ・ミズノで、彼女の出演作『ラ・ラ・ランド』『エクス・マキナ』をここ続けてみていますが、本作が出番も多いし一番いいですね。彼女もダンサーだから、少しだけその腕前を披露。脇役で、舞台も用意されなかったのは残念。

役どころがビッチなせいと、アメリカ映画特有の撮られ方で、アジア女性としてはちょっと下品に寄ってます。でも、彼女も今後に期待します。彼女も、表情の作り方が磨かれるといいんじゃないか。

何でもバトルにしたがるのがアメリカ映画らしいなあ、とは思った。アイリッシュ・ダンスと「四羽の白鳥」対決が飛び抜けて楽しかった!…実際は対決でなくなるところ含め。

主人公チームの最終ステージは、製本やデザインにある表現「角丸」を連想した。異ジャンルのダンスの、尖ったところ、優美さをそれぞれ突き詰めず互いに少し、丸く寄せて調和を図っているように見えた。

でも、映画の物語の中ならわかり易く、悪くないパフォーマンスと思ったが、生舞台で見たらたぶん退屈だと思う(笑)。

原題High Strungは音楽用語らしいが、本作に当て嵌めた時どういう意味となるかはよくわからなかった。

<2017.3.28記>
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