サガン

マンチェスター・バイ・ザ・シーのサガンのレビュー・感想・評価

4.0
◆兄の愛◆
無愛想で憂鬱な主人公
バズーカ級トラウマを抱えている。
一生自分を許せない"人生の無期懲役刑"を自らに課した暮らし。
逃げるように町を出るが、兄の死をキッカケに避けてきた人間関係やトラウマと直面する

「すばらしき世界」で"大切なのは、社会とのつながりを切らさないこと"と言っていたのは印象的。
兄が遺した遺言は苦しむ弟のためでもあったのだ
自分も姉を亡くしているので、兄の愛に泣けた

別れた妻の許しの言葉
絞り出すようなルーの
" I can’t beat it. I’m sorry "

よく"喪失と再生のドラマ"というが、現実にはそう簡単に劇的な再生は起きない。
薄皮を剥ぐように、
螺旋階段を昇るように、
だんだんと傷の再生を待つしかない。

何も無い部屋に兄がソファーを買ってくれたように、弟は甥っ子の為にソファベッドを買う
"ひとすじの再生の兆し"だ。

病室での「良い病気って?」とか
救急車に担架がなかなか入らないとか
深刻なシーンでちょいちょいユーモラスなとこも良かった。

*マンチェスター・バイ・ザ・シーは英国でなく米国マサチューセッツ州の町
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