コウ

マンチェスター・バイ・ザ・シーのコウのレビュー・感想・評価

4.7
劇中のリーの過失はあまりにも大きく
彼が自分を赦すことは決して無いだろうし
彼の心の深い傷が癒えることもないとおもう

話せば誰しもが同情するような理由ではないからこそ
リーは事件のことを誰かに話して救われること等望まないだろうし
これからも自分の罪を一人で抱えて生きていくのだろうとおもう

作品を通じてリーの心境が劇的に変わることはなかった
彼はこれからも 故郷に留まることはないだろう
かつて家族と過ごした日々や事件のことをあまりにも鮮明に思い出してしまうから
それに人と深く触れ合ったり人の好意を受け入れることもないとおもう
自分が赦されることを決して望んでいないから

甥のパトリックと新たに生活を共にすることで 人生が好転し人間らしい生活ができると分かっていても
リー自身はそれを受け容れることが出来ない


『人は心に大きな傷を負った時には必ずしも乗り越えられるわけではない』
っていう 物語映えしないテーマを
緻密にそして現実的に表現しているので
とても 心に刺さる作品だった
コウ

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