グラッデン

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツのグラッデンのレビュー・感想・評価

4.1
小さな街の人気店だったマクドナルドを帝国に変貌させた男の物語。

良し悪しはありますが、マクドナルドは米国をイメージさせる企業であると思いますが、企業が紡いだ物語もまたアメリカ企業らしいエピソードを重ねてきた点が非常に興味深かったです。

例えば、スティーブ・ジョブズを題材にした一連の作品であったり、フェイスブック創業を描いた『ソーシャルネットワーク』もそうであったように、描き方は様々でありますが、米国を代表する企業を取り扱った作品では本作の主人公のようなビジネスマンが登場してくると思いますので、この点はある種のお国柄ではないかと思いました。

マクドナルド兄弟のような独創性を持たず、自己啓発のレコードで自分を奮い立たせる主人公の武器は「根気」と述べております。さらに、人の夢を喰って自らの野望を叶えんとする貪欲さは、物語が進むごとに狂気にも映るほど彼の原動力になっていることが伝わります。

何も持ち得なかった者がチャンスをモノにして大きな成功を掴むという姿は、所謂「アメリカンドリーム」を体現するものではないかと。発明者の作り上げたものを乗っ取った経緯から負の感情は芽生えてしまいますが、反動のように自らの野心に邁進する強大な力に魅力を感じることも否定できません。
ビジネスの世界は、仁義こそあれど善悪で語ってはいけないのだと改めて考えさせられました。